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映画の裏話3

 映画の中で、可部の鋳物工場内での溶湯の球状化処理を描いたシーンを御記憶の方もおられるかと思います。スクリーンで見ても迫力があるかとは思いますが、実際の現場ではもっとすごいものです。

 同工場にはある日、何事もなく操業していた最中にけたたましいサイレンを鳴らして消防車がやってきたとのこと。

 球状化反応で生じる閃光を発見して驚いた近所のマンションの住民が火事と間違えて消防署に通報したのです。

 付近の住民にとっては必ずしも鋳物工場は歓迎されるものではありませんが、鋳物工場の側からすれば、昔からやってきたのに新しく来た人々になぜ文句を言われなければならないのか、という思いも実はあります。

 ただ、町工場よりも住民パワーの方に分があるので、昭和40年代頃から鋳物工場はどんどん郊外に移転していくようになりました。キュポラから電気炉へ溶解手段が変わっていったのも、公害問題への対処が一因でもあります。

 ただ煤煙を出すキュポラにも利点があって、亜鉛めっき鋼板のように電気炉だと溶け込んで湯に異状をきたす材料も問題なく溶解できることが挙げられます。原発から発電された電気を大量に使う炉とこのようなリサイクルも可能なキュポラのどちらが環境にやさしいのか、簡単に判断できる問題ではないようにも思えます。

 ホンダの創始者である故 本田宗一郎も鋳物の溶解は電気炉ではなくキュポラと言っていました。私の亡父もキュポラ至上主義者で、「ゆっくり鉄瓶で沸かした湯と瞬間湯沸かし器を使った湯との違いだ」などと言っていました。コークスからゆっくりと浸みこんでいくカーボンを含んだ溶湯と、加炭材で短い時間にカーボンを浸透させる湯の違いを言いたかったのでしょう。

 いささかマニアックな話で恐縮ですが、インスタントコーヒーとレギュラーコーヒーの味の違いなんて比喩もできるかもしれませんね。

 ただ、キュポラは維持管理が本当に大変で、はつり作業や炉底を張る作業を経験した人はその苦労が分かるでしょう。特に夏は形容しがたいぐらい過酷な作業です。

 今回も思いつくままの雑駁な内容となってしまいました。お読み下さり有難うございました。
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Author:tokioikomu
ドキュメンタリー映画『時を鋳込む』(青原さとし監督、広島県鋳物工業協同組合製作)の企画に携わった者です。1人でも多くの方々がこの作品を鑑賞することを祈っています。

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