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『とろける鉄工所』と無名の職人たち

 『時を鋳込む』のパンフレットに、描き下ろしの漫画を寄せて下さった野村宗弘氏の『とろける鉄工所』第7巻が発売になったので、早速、書店で買って読んでみました。

 いいですねぇ。今回は鉄についての解説がある特別編が最初にあって、お得な感じです。映画でも、たたら製鉄の説明の場面で、風を送るための天秤ふいごである「たたらを踏む番子」というナレーションが入りますが、「かわりばんこ」という言葉がここから来ているとは知りませんでした。交代しながら、炉に風を送っていたんですよね。

 映画に登場する野間砂次の手記にも大正の創業時、学校が終わった小学生たちにたたらを踏ませて、キュポラに風を送っていたとの内容があります。まさしく児童労働で今なら許されることではありませんが、当時は珍しくなかったことでしょう。

 『とろける鉄工所』が好きなのは、小島さんや今井さんのような職人を丁寧に優しい眼差しで描いていることです。それとともすると会社の社長を悪者に描く作品が多い中で、「のろ鉄工」の社長も同様の視線で見つめていることです。パンフでも映画評論家で元文部省官僚の寺脇研さんが、この作品を愛読していることを吐露していました。

 『時を鋳込む』も今まで描かれてこなかった無名の職人たちにスポットを当てたいという思いもあって製作されました。製造業がテレビなどに取り上げられるのは、大体、最先端か伝統工芸の技術で、圧倒的多数である他のありふれた技術に従事している人たちは、余り取り上げられることはないように見えます。せいぜい景気不景気の状況を知るために社長さんにインタビューする時ぐらいでしょうか。

 この世の中にはいろんなモノサシがありますが、テレビでいろんな大学の先生や評論家を見る度に、「果たしてこの人たちのどれだけが、ものづくりに従事している無名の職人さんたちより社会に貢献できているのだろう?」と考えることがあります。自らの手で具体的なモノを作り、私たちの生活を支えている人たちと比べて…。

それは今の自分自身に向けられた問いでもあります。
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Re: 鉄工所

コメント有難うございました。

今回の映画も今までのテレビや映画業界を非難しているだけでは仕方がないので、まず自分たちで作ろうという思いから製作されました。

貴方のブログに注目が集まることを念じます。映画のパンフに元旋盤工で作家の小関智弘さんが文章を寄せて下さいましたが、彼の著作は参考になろうかと存じます。既に御存知でしたら、余計な御世話で失礼しました。
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Author:tokioikomu
ドキュメンタリー映画『時を鋳込む』(青原さとし監督、広島県鋳物工業協同組合製作)の企画に携わった者です。1人でも多くの方々がこの作品を鑑賞することを祈っています。

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